柿の装画
秋の宝石 – 文庫表紙

 もちろん個人的な好みもありますが、柿の食べごろは中心部がルビィのように紅く熟しているときだと、私は思っております。南瓜の外皮の黄色や橙色の部分が内部の熟し方を示すように、柿も皮の色味であるていどは見当が付くものの、中心部の理想の紅みとなると難しいものです。
 そんなおり、カラスが程よく熟した柿をついばんでいるのを見て、カラスをトリュフ探しの豚のように利用できれば理想の柿探しが容易になるのではないかと閃いたのです。とはいえ実現には多少の時間がかかりそうです。何せカラスは理想の柿を見つけたとしても、勝手についばんでしまいますので……。

装画・文章 草葉