
眠れぬ夜はミルクを温めて。夜空を渡る天の川がミルキーウェイとも呼ばれるように、ミルクは夢の国へと通じているのかもしれない。
マグカップを掲げれば、そこに映るのは舟をこぐ私。ホットミルクを掻き分けて、穏やかな夢が広がる河口を目指している。でも、川は気まぐれだ。ときには荒々しく舟を揺さぶって眠りを妨げようとする。そこであらがえば、たちまち現実世界に放り出されることだろう。だから私は流れに身をまかせる。川に逆らわず、熱いホットミルクが喉元を過ぎるように静かに待つ。
そうすればそのままの勢いで、夢の国へと放り込まれるのである。
装画・文章 草葉